札幌映画サークル創立55周年記念上映会 香川京子さんトークレポ

5/27日曜。


昨日、今日と動き回ったウイークエンド。


昨日は札幌映画サークルさんの

創立55周年(すばらしい!)記念上映会に。



溝口健二監督の「近松物語」と「山椒大夫」の上映、


そして!どちらの作品にも主演されている

女優、香川京子さんのトークがありました!


いやあ、ステキでしたよーーーー、香川さん。


彼女の歩いてきた道のりがそのまま

日本映画史と重なる輝かしいキャリアとは裏腹に


ご本人はいたって「引っ込み思案」で

「前には出たがらない」性分なのだとか。


その彼女に溝口健二はじめ、成瀬巳喜男、今井正、

小津安二郎、黒澤明、山田洋次、是枝裕和…と

名だたる映画監督たちが魅了され、

「ぜひ作品に」と切望したことを思うと、


やはり俳優にとって「無作為」ほど

最強の魅力はないのかもしれません。



以下、トークを聞きながら入力したiPhone「メモ」に

文章的な編集を加えてアップします。



映画生活70年目。17歳から映画界へ。

新聞社主催のニューフェイスに応募して女優に。

「自分の仕事」と思えるものがほしかった。

おじさんが映画の宣伝やってた。反対されたけど。


就活とオーディションのカメラテストの日時が

ぴったり重なって、人生の分かれ道。

「やりたいほうを」と言ってくれた母親。

新東宝に。女優という職業としてやってきた。


成瀬巳喜男監督「女優さんらしくない」。

仕事が終わると家に帰って普通の生活に。

「監督荒らし」と呼ばれたことも。

「私は荒らしたつもりなんてないんですけどねえ」


出演作品を自分で選びたい。

本数契約からフリーになりたい。

とにかく自由になりたい一心。

自分から出演をお願いしたことは一度もない。


小津監督の香川評「洗いたて」

溝口「生得の魅力がある」小津「リアクション上手」


この「リアクション上手」は溝口健二監督のおかげ。

溝口監督は役者に演技をつけないので有名。

「やってみてください」

「もう一度」「もう一度」と繰り返すだけ。

役者が自分で考えなきゃいけない。演技の基本。


「近松物語」も、そう。最初はおたま役だった。

ヴェニスの映画祭から帰ってきたら

「きみが、おさん役だよ」。

人妻役、京言葉も衣装も初めて。

浪花千栄子から方言指導。衣装で歩く練習、京言葉練習。

「ずっと浪花さんにすがりついてました」


溝口監督に唯一言われたことは「反射してますか?」

リアクションを大事に。

黒澤組もそう、反射の連続。


「天国と地獄」セリフなく反射の連続。

画面には出てるけど、出過ぎても引っ込みすぎでダメ。

黒澤組の女優は難しい。

黒澤没後、新聞の切り抜きが出てきた。

「天国と地獄」キャスティング前の黒澤明コメント

「奥さんのイメージはエリザベステイラー。

 買い物かごが似合わないひと」

「私、それを知ってたら出られなかったと思います(笑)」


黒澤組初出演は「どん底」。

巨匠、黒澤はスタッフ・キャストの勉強のために

古今亭志ん生を呼んで「粗忽長屋」を一席やってもらう。

他の共演者が大ベテラン。必死だった。

「長いカットの方が芝居がつながるから好き。舞台のよう」


「赤ひげ」のときも役づくりのために

同じような役どころをやったことがある

山田五十鈴の紹介で精神病院を訪れたことも。


今井正監督「ひめゆりの塔」。ほとんどセット。

夏の話だが撮影は冬。とにかく寒かった。

母親が作ったビニール製の下着。

白い息出るといけない。テストの時に氷を含む。

沖縄の女学生たちのことを思えば、とがんばる。


戦後30年ぶりにひめゆり学徒隊の「卒業式」に参加。

初めて沖縄に。

「お友達を亡くしたようでした。戦争は二度と…」

ひめゆり同窓会東京支部の準会員に。

孫たちの活動を著書「ひめゆりたちの祈り」に書いた。

夫、社会部の記者。共著みたいなもの。

ひめゆりの出演、人生の影響大。



溝口作品「山椒大夫」京都の冬に撮影。

入水場面が美しいのは、カメラ宮川一夫のおかげ。

湖の底にスタッフがスロープを作ってくれて、そこを歩いた。


「近松物語」相手役、長谷川一夫、やさしい。

なんでも受け止めてくれる。


気持ちでぶつかる。ワンカットワンカット忘れられない。

途中、ふたりとも死を覚悟したはずなのに

茂兵衛の最後の告白「お親い申しておりました!」

「死ぬのがいやになった」とすがりつくおさん、

「そんなこと言われても茂兵衛は困ったでしょうねえ(笑)


役者として自分の必死な気持ちと

おさんの一途さが重なったのかも。


寅さん24作目にも出演。実は第1作目に出るはずだった。

オファーがあったが後日制作側から

大変申し訳ないのですが、

 実は予算がないもので…」と出演が流れたそう。

(推測:香川さんクラスのギャラが払えなかった?)


24作目「男はつらいよ 寅次郎春の夢」

もの静かな渥美清。心づかいのひとだった。



うーん、すごい。

出てくる監督、役者の名前がビッグネームばかり!


このほかにも香川さんの映画界における貢献度は高く、


近年、ご自宅に保管されていた映画資料300点近くを

東京国立近代美術館フィルムセンターに寄贈され、

2011年には日本人初の国際フィルム・アーカイヴ連盟賞を

授与されたそうです。知らなかった!



私がもの心ついたときは

「おしとやかなおくさま

 or いつもニコニコ顔のおかあさん」

というイメージが強かった香川さんでですが、


当時21歳だった「近松物語」の熱演は

身震いするほどのすごみがある。


一度は離ればなれになった茂兵衛とおさんが再会し

このまま溶けてしまいたい……!とばかりに

狂おしく抱き合う場面を、みなさんに見てほしいです。


しかもこういう名作を映画館の大きいスクリーンで

見ることができて、本当によかった!


札幌映画サークルさん、創立55周年おめでとうございます。


今回もまた素敵な上映会を私たち映画好きに届けてくれて

ありがとうございました!


by miminibanana | 2018-05-27 18:52 | レポート | Comments(0)