『ハリネズミの願い』

8/25木曜。朝ジョグ、今週2日目。がむばりました。

昨日、大きい原稿が終わったので
久しぶりに本屋に行きました。

見 つ け た 。 

見つけましたよ。とっておきの新作を。

この、表紙が一部日焼けしちゃってる本は
オランダの作家トーン・テレヘンさんが書いた
「だれも死なない」です。私の本棚に16年間います。
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2000年に初版が出て、
なんといまは絶版になっているのだとか。

テレヘンさんは、
オランダでは知らないひとがいないほど有名な児童文学者です。

いっぱいいっぱい賞もとっている。

小さいころ、むすめさんにせがまれて
物語をつくるようになったとか。

どうぶつたちを主人公にしたお話が多いみたい。

「だったとか」とか「みたい」というのも、
かれはめったに表舞台には出てこないひとだから。


本書の「だれも死なない」にはいくつかのルールがあり、

1.同種類のどうぶつは複数、登場しない。
ゾウもアリもリスも1頭(匹)だけ。

2.みな同じ大きさ。

だから、ゾウとタニシがお茶をしたりする。

お気づきでしょうか、絵は金子國義さんが描いてます!
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ルールの続き。3.だれも死なない。

タイトルにもなっているこのことばは
詩人の谷川俊太郎さんが訳しました。

4.人間は出てこない。


このなかに出てくるアリとリスは、とても仲が良くて、

あるとき「何でも知りすぎて」頭が重くなっちゃったアリが
うつぶせになっていると、リスが訪ねてきます。

アリを心配するリスがいいます。

「ぼくのことを忘れてみたら?」
「リスを?」
「できるでしょ?」

うなずいて目を閉じたアリは、
とつぜん羽のようにくるくると舞い上がり、
木の上まで飛んでいき、ふたたび地面に落っこちます。

「ほんとに忘れてたんだよ。
 でも、またリスのことを考えちゃったんだ」


す て き す ぎ る お は な し で しょ 。

というテレヘンさんの、
翻訳新作を昨日見つけたんですよーーーーーー。

それがこちら。「ハリネズミの願い」(新潮社)です。
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主人公は、孤独なハリネズミ。

みんなを家に招待しようとお手紙を書こうとするのだけれど、
どうしても出すことができません。

「親愛なるどうぶつたちへ
 ぼくの家にあそびに来るよう、
 キミたちみんなを招待します」

そのあとにこんなことを書き足しちゃう。

「でも、だれも来なくてだいじょうぶです。」

うわーーーーー、やめてーーーー。
ハリネズミ、愛しすぎるーーーーーーーー。

ハリネズミの孤独はまちがいなく私の孤独でもあり、
もしかすると、おとなみんなの孤独なのかもしれません。

昨日から読み始めていますが、
胸がきゅううっと絞られるような名文ばかり。

読み終わるのがさみしくて、いつもそばに置いているけど
1ページ1ページ進むのが、つらい。うれしい。こわい本。

この2冊を並べられる日がくるなんて。

思いもかけなかった幸せを、つい綴ってしまいました。
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私がアリならリスを招いてお茶でもするところですが、
ハリネズミなので、仕事に戻ります。

孤独の抱きしめかたを、ハリネズミから教わるんだ。

by miminibanana | 2016-08-25 15:34 | おすすめ | Comments(0)