町田康『ギケイキ』感想

7/24日曜。

脱走おしまい。原稿サンデーでーす。

昨日、町田康の『ギケイキ』を読み終わりました。

なんだー、まだ雑誌『文藝』で連載中だったんですねー。

ギケイキ、すなわち「義経記」ですので、

源氏の御曹司である義経が
保護を求めていた東北・藤原氏のもとを出て
いよいよ、頼朝と合流する直前で物語が終わってしまった。


すでにあちこちの書評で出ていますが、
この本の鍵は「文体」です。

修行のうえに体得した「早業」で、
幾多の危機を「ぶっつぶして」きた義経らしく、

文体もスピーディーな
(しかも死んだ本人による)現代口語調。

「燃やす。すべてを燃やし尽くす。
 これは後年の私の主要な戦術のひとつとなる。
 このとき私は、またひとつ、アイテムをゲットしたのだ。」とか

「それがわかったとき、私は腹の底、心の底から、
 あああっ、面倒くせー。と思った」なんていう文章が

次から次に繰り出されて、読者をボッコボコにする。

死者に語らせている時点ですごいですけれども、
「いてこます」とか「マジですか」も当たり前に出てくる。

町田康、やりおった。という感じです。


すでに義経の末路を知っている現代人の身としては
哀しいお話は読みたくない、という気持ちと、

町田流義経がそれをどう咀嚼して、自分語りするのか
見てみたいという気持ちも強い。

続きが出るまで、ちょっと忘れたフリをしていようと思います。

by miminibanana | 2016-07-24 11:09 | 世間話 | Comments(0)