映画『美しい星』感想

6/4日曜。

寒い日曜でしたね。

今日は自宅モードでした。
ネットばかり見ちゃったりして。


ここんとこ、結構まめに映画を観に行っています。

蜷川シアターの
『ジュリアス・シーザー』『身毒丸 復活』
『間違いの悲劇』に加えて

実写版『美女と野獣』も。

私はフランスのクリストフ・ガンツ監督版のほうが好きですが
贅沢な脇役はディズニー映画ならでは。

そして、もう1本。

吉田大八監督『美しい星』、これは三島由紀夫原作。
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いやあ、傑作でしたよ。大傑作!
今年のベスト5に絶対入る。

思わず原作を買ってしまいました。


多分、この映画で
「おとうさん」役のリリー・フランキーは
なんらかの主演男優賞をものにすると思います。

亀梨くんも、役者としてベストアクトなのでは。

家族がある日、突然
「自分は宇宙人だ」と覚醒する物語で、

彼自身も役者に「覚醒」した、と
いってもいいと思います。

基本、世間並みのことしか知りませんが、

順風満帆とは言いがたい
ジャニーズ人生を送ってきた彼は、

自分の居場所を探し続ける「陰」と、

もしジャニーズに入っていなければ、
プロ野球界に進んでいたとも言われる、
清らかなスポーツマンシップを身のうちに抱える、

「光と陰」が混じり合った
独特の魅力があるように見受けられます。

本作でも、難しい役どころを精一杯理解しようとする
清らかな覚悟みたいなものが
スクリーンから伝わってきました。

高い身体能力を発揮する場面も
多々ありましたしね。


その「妹」役の橋本愛は、自分の美貌スイッチを
マックスにまで振り切って、巫女的に熱演。

目がつぶれそうなくらいに美しかった。


それになんといっても、「竹宮薫」!

「竹宮薫」役を
小さい頃から大衆演劇で舞台に立ち続けてきた
若葉竜也(わかば・りゅうや)に配したのは、
すばらしいキャスティング!最高の配役でしょう!

「ちびっこ玉三郎」で知られる彼は、
中性的な美貌と確かな演技力で

地球と宇宙?どちらの世界にも片足を置く
《境界線》の役割を不気味に演じる

怪しいし、妖しい存在。


思えば、NHKの短編ドラマで
満島ひかりが金田一耕助を演じるシリーズでも

この若葉竜也くんは、

善と悪、被害者と加害者の狭間を行き来する
重要な役を演じてましたっけ。


『美しい星』でも前髪で目を隠すと、

彼のぷっくらと膨らんだ
官能的なくちびるばかりが目立ち、

ただのあんちゃんが言っているせりふが
なんだかご神託にも聞こえてくる。

それが十分、橋本愛だけでなく観客をも惑わせるのです。


「おかあさん」役の中島朋子も、
助演なんとかをあげたいくらい。

ううーん、総じて、ものすごい役者力だった。

俳優の実力をこんなにも高める吉田監督の演出、
どうやっているのか見てみたい!


久しぶりに作品と観客ががっぷりと四つに組める
いま、一番おすすめしたい日本映画です。

by miminibanana | 2017-06-04 19:14 | 世間話 | Comments(0)