「お口から始めよう!アンチエイジング」安彦善裕先生講演会レポート

11/12土曜。

昨日行った講演会は、
北海道歯科医師会と読売新聞北海道支社が開催したもの。

「いつまでも口から食べようシンポジウム」と題して
2人のスピーカーが壇上に立ちました。

一人目は、北海道医療大学 歯学部教授の安彦善裕先生。

二人目は、著書『面白南極料理人』が
(まだ大ブレイク前の)堺雅人主演で映画化された
《南極料理人》西村淳さん です。

1988年に出発した30次観測隊と
1996年に出発した38次観測隊の2度にわたり、
南極ドーム基地で
南極観測隊たちの食事を担当した西村さん。

スライドには現地での生活を克明に写した
記録写真がてんこもり!

笑いあり、オドロキあり、感動ありのスライドで、
1時間ちょっとのお話を盛り上げてくれました。

もちろん、
こちらはこちらでおおいに楽しかったのですが、

私がここでまとめておきたいのは、
西村さんより先にお話された
安彦先生のお口に関する健康のお話。

「お口から始めよう!アンチエイジング」の
内容をかいつまんでレポートします。





11月11日、札幌の共済ホールで聞いた

北海道医療大学 歯学部教授の安彦善裕先生のお話
「お口から始めよう!アンチエイジング」は、

お口の健康が、いかにこころとカラダの健康とも
つながっているか、という、とてもためになる内容で

ぜひ広く共有したいなと思い、
私なりの編集バージョンを残すことにしました。

以下、ぽんぽんと書き残していきますね。


●口の老化と体の老化は比例関係

口の機能は、食べる、飲む、噛むなど
大半が「食」に直結しています。

食べること、楽しいですよね。私も大好き!

つまり「人生の喜び」や「楽しみの宝庫」である
口の健康を失うと、たとえば、

 おいしいものが食べられない → 栄養不足
 食事の時間が楽しくない → 外食が減る

これらに伴う人としての快活さを失い、
やる気も失せ、心の老化を進めることに。

実際、65歳以上の人々で

 歯がない人は
 歯がある人の1・9倍認知症になりやすい

というデータもあるそうです。

さらに歯が抜ける、すなわち本数が少なくなると
噛み合わせも悪くなる。

よく噛めないと、脳に満腹感が伝わらず
食べ過ぎ、肥満にもなりやすい。

とてもこわい話ですが、納得できます。


「もう入れ歯を使っているけど?」
という人も心配はありません。

「入れ歯でも正しいケアと指導のもとで
 使っていれば、大丈夫。

 噛むことで唾液もちゃんと適量出る、
 などの効果を得られます」と、安彦先生。

うーん、これは私、初耳でした。

心のどこかで、入れ歯になったら
もうダメなのかなーと思っていた。

歯があることが肝心なんですね。


●タバコは絶対ダメ!一害あって百利なし

お口の健康を害する要因といえば、
まずはタバコ。

私も若い頃ちょっとだけ吸っていましたが、
やっぱり、カラダにいいわけがない。

安彦先生のお話によると、
「喫煙者の喉頭がんになる割合は32・5倍です」。

3倍じゃないんですよ! 32・5倍!

これはもう、大事な人が吸っていたら
ぜひ止めるよう説得しないと、ですね。


●最新キーワード「オーラル・フレイル」

Oral(オーラル)とは、
口の、口腔の、という形容詞。

Frail(フレイル)は、
か弱い、虚弱な、もろい、という形容詞です。

これをあわせた「オーラル・フレイル」、
直訳すれば「歯・口の機能の虚弱」は、

いま日本歯科医師学会が広めようとしているキーワード。

「今後、耳にする機会が多くなることばです」と
安彦先生も繰り返しおっしゃっていました。

これってきっと
「メタボ」が普及したときと同じなんでしょうね。

「8020運動」
(80歳で自分の歯を20本残すようにケアを呼びかける運動)
に続いて、
「オーラル・フレイル」の予防を国民運動として普及する。

最新の情報を聞かせてもらいました。


私、このへんの話を聞いてる時点で、
モーレツに歯が磨くなったことを告白します!

歯、大事! すごく大事!


●歯周炎と糖尿病のあまーい関係

このあと、もう少し
「オーラル・フレイル」の話が続きますが、

今度は「歯周炎」という聞き慣れた単語が出てきました。

「歯」の「周」りが「炎」症を起こす「歯周炎」は、

慢性の炎症のため、
放置しておくと歯を失う大きな要因になるそうです。

そうすると、先ほども触れたように

歯の数が減る 
→ 噛み合わせが悪くなる
 → 大事な役割がいっぱいある唾液の量が減る
  → また歯周炎になりやすくなる…

この悪循環が、

→「オーラル・フレイル」を進めてしまう
 → 社会参加/栄養面/身体面 で衰えていく
  → 寝たきり・要介護に

という事態に陥ります。うーん、なるほどなー。


ここで、歯周炎は糖尿病とも深い関係がある、と
安彦先生は指摘します。

糖尿病の人は、感染しやすい状態になっているため
歯周炎にかかる確率が2・6倍。

逆に、歯周炎を治したら糖尿病も治ったという例もあり、
まさに〈一蓮托生〉の関係にあるそうです。

(この時点での私の気持ち:
 「誰かー、歯ブラシ持ってきてー!
  歯磨きさせてーー!」)


●亭主はいてもストレス、いなくてもストレス

口・歯の働きが衰えると、食べる量が減ります。

食べる量が減るって、
ものすごくストレスですよね。

ストレスになると、交感神経が強くはたらき
ベタベタ唾液が分泌されて、
その先にはドライマウスが待っている…。


「では、ここからストレスについてお話しましょう」

え? 歯科の先生がストレスのお話?と
一瞬皆が驚いたようですが、

実はスピーカーの安彦先生は、
大学で「口腔内科相談外来」を担当されており、

主にストレスが原因で起こる歯科心身症にも詳しい
「歯とこころ」の関係を探るプロフェッショナル。

すごく面白い情報を教えてくれました!


それがこちら、
アメリカの社会生理学者ホームズらが行った
研究「ライフイベントとストレス」による
「社会的再適応評価尺度」(Holmes&Rahe,1967)です。

人生の出来事とストレスの尺度で、
たとえば、トップ10は以下のとおり。

【1】配偶者の死……100 やはり、という印象
【2】離婚……73 
【3】夫婦別居生活……65 
【4】拘留、または刑務所入り……63 
【5】肉親の死……63 
【6】自分の病気や傷害……53 
【7】結婚……50
【8】解雇……47
【9】夫婦の和解調停……45
【10】退職……45 

解雇や退職よりも
結婚のほうがストレス度高し(笑)。

このあと、私が気になったものを
ピックアップしますと、

【11】家族の病気……44
【18】転職……36 
【24】姻戚とのトラブル……29
【30】上司とのトラブル……23
【41】休暇……13 
【42】クリスマス……12 
【43】ささいな違法行為……11 


ここでオチャメな安彦先生が

「こういうストレスもあるんですよ」と出したのが、
「主人在宅ストレス症候群」(笑)。

定年後ご主人がずっと家にいるようになると、
奥さまたちが訴える症状で、

高血圧やぜんそく、うつになるケースもあるそうです。

でも、ホームズの調査によると
配偶者の死別や離婚は極度のストレス要因。

ということは、亭主は
いてもストレス、いなくてもストレス(笑)。

「どうすればいいんでしょうね」と
笑う安彦先生と私は、実はご近所さんでして、

素敵な奥様や仲のいいご夫婦のことも
よく存じあげています。

国内外の出張が多い安彦先生の
多忙なスケジュールを聞いていると、

シングルの私が申し上げるのもおこがましいですが、

まさに往年の名コピー
「亭主元気で留守がいい」を地でいく
仲良しご夫婦なのでした。


●おすすめストレス解消法は軽いスポーツ

さて、さまざまなストレス解消法のなかでも
やはりおすすめは、スポーツなんだそうです。

「うつ病の方にはすすめませんが」との断りつきで、

軽度のスポーツは心の健康にとてもいい。


あとは「がんばりすぎないこと」。

(日本語の「がんばる」に該当する英語はない、
 というお話も面白かったです。確かに!)

幸福感について調べている研究者からは

「幸福感の高い人ほど長生きする」
というデータもあるそうです。

「笑って過ごすことが
 歯および心身の健康を保つために大切です」

というお話で、

持ち時間の40分ジャストで(!)
安彦先生のお話は終了しました。


いやーー、面白くてためになったなーー。

この晩、私の歯磨きが
いつも以上に丁寧になったことは
言うまでもありません。

きっと会場にいた皆さんがそうだったと思います。

歯垢の磨き残しをチェックできる
歯垢染色剤、買ってこようかなー。

いや、それともちゃんと
歯医者さんに検診に行こうかしらん。


いずれにせよ、歯の元気、とっても大事です!

「オーラル・フレイル」にならないために、
今日からよく噛んで、よく磨くこと。

これをご覧になったみなさんも一緒に
お口の健康、保っていきましょうね!


以上の内容は、客席にいた私が
印象に残った部分をピックアップしてまとめた
私的レポートです。

詳しい内容は、12月8日付けの読売新聞北海道版に
掲載されるそうです。ぜひチェックを。


最後になりますが、
このレポートのブログ掲載を
許可してくださった安彦先生、
講演会に誘ってくださった奥様の宏子さん、

本当にありがとうございました!

by miminibanana | 2016-11-12 16:23 | レポート | Comments(0)