映画『ハドソン川の奇跡』『永い言い訳』感想

観てきました。

実話をもとにした“奇跡”。

クリント・イーストウッド監督
トム・ハンクス主演『ハドソン川の奇跡』
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2009年1月15日にUSエアウェイズ1549便が、
アメリカのラガーディア空港を飛び立った直後、
カナダガンの群れに衝突して両エンジンが破壊。

機長のとっさの判断により、ハドソン川に緊急着水した実話です。

映画の宣伝コピーが、
「155人の命を救い、容疑者になった男」と
ちょっと不穏な空気を漂わせていますが、

監督のイーストウッドはなにも
久しぶりにNYに笑顔を運んだ英雄譚を
無理矢理サスペンスにしようとしているわけではなく、

使命をまっとうする職業人の尊さや
人間は日々の積み重ねでできていること、

そして誰しもが決して“完璧ではない”ことを
描いていると感じました。

近年SNSの浸透もあり、著名人や大企業のゴシップに
よくも悪くもネット社会はにぎわい、“炎上”しています。

私も記憶していますが、この不時着事件があった直後
Twitterでは、

「救出直後、チェスリー・サレンバーガー機長が
 何事もなかったかのように、
 カフェでお茶していた姿が目撃された」
「すげー!」「かっけー!」「さすがベテラン機長!」と
喜ぶ声がいっぱいリツイートされてきましたが、

そ ん な こ た ぁ な い (笑)。

冷静に考えたら、ありえないのです。

事実はどうやらお茶どころか、家族のもとにも帰れず、
神経をすり減らす「事実確認」に追い込まれていた模様。

事件後、何があったのかは、どうぞぜひ映画で確認してほしい。


人にはいろんな面があり、その人の
「ここが好き」「あそこはちょっと」があっていい。

ただ、我々は職業人が集まっている「社会」にいますから
職業人として
職務を遂行する力と責任感がある人には
純粋に敬意を払いたい。

そのことを強く再確認した映画でした。

上映時間も1時間36分と、
ぎゅっと中味が詰まった1本です。


続けて観たのはこちら。
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西川美和監督が珍しく、先に同名の小説を書き、
それを自ら映画化した作品です。
小説は直木賞候補にもなりました。

これはね、もう、

美しいひと、本木雅弘と
ミュージシャンの竹原ピストル(こういう名前なんです)
を主演に揃えた時点で 大 成 功 。

そして、あの子どもたち。
お兄ちゃん、あなたって子は…。


ストーリーや見どころはこちらの公式サイトにありますが、

モックンが切れて、子どもたちも同席している
誕生日パーティーで独白する場面は、鳥肌もの。

ああいう場面をつくること自体がエグイなあ、
さすが西川監督。

セリフがほとんどない深津絵里も見事でした。

この人には、
透き通るようなかわいらしさがあるけれど、
タールのように黒い芯がある。と、感じます。


モックンは、皆さんもご存知のように
アイドルでしたでしょう?

なので
テレビが映すこと・テレビに映されることに対する
諦観にも近い不信感がある。体に染みついている。

そこにあるのは実像じゃなくて虚像、
まさに偶像(アイドル)なんだと。

ははは、笑っちゃうよね、という自虐的な哀しみが、
あの人をちょっとユーモラスにしているんだと思います。

現役アイドル時代のモックンを知る世代には
ぐっとくる場面もあります。

ぐっときました。いいもの、見た。


見終わって、
西川さんが書いた原作も読みたくなりました。

作家である主人公が
ところどころ手帳に紡いだ文章を読んでみたい。


今年観た『怒り』と並ぶくらいの
すばらしい映画でした。おすすめです。

by miminibanana | 2016-10-28 10:53 | 世間話 | Comments(0)