野村萬斎「マクベス」感想

7/2土曜。

昨日はすばらしいお天気でしたが、私はバタバタ。

夜、札幌の教育文化会館に野村萬斎の「マクベス」を
観に行くため、日中汗だくでがんばっちょりました。

萬斎「マクベス」、5月のチケット発売当日に
街中のチケットぴあに並んで買いに行きましたが、

発売の10分後に私の番になった時点で「1階席が完売です」。

ええええええーーーーーー! 

演劇熱があまり高くない札幌ではとても珍しい展開に!

なんとか2階席の真ん中を確保してしょんぼり帰ってきたのでした。
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で、肝心のステージはというと す ば ら し か っ た 。

野村萬斎自身が演出・構成も手がけた本舞台では、

大胆な原作の省略と
舞台の真ん中に小舞台を置くステージづくり、

マクベスとマクベス夫人(鈴木砂羽)以外の役は、
3人の男優がぜーんぶ演じるという

ミニマルな演出が、ずばあぁぁぁぁっっと的中!


血なまぐさいスコットランドでの殺戮劇が
狂言師・野村萬斎のフィールドである「和」の美と調和して、

品格と緊張感あふれる95分間を堪能することができました。


シェイクスピア原作の「マクベス」を忠実に舞台化するとしたら
おそらく2時間は優に超えるはず。

そこをマクベスと夫人が登場しない場面はほぼすべてカットする
という思いきった展開で、

人間の野望、欲望、そしてなんの根拠もない希望のよるべのなさが
より浮き彫りに。


全体的なせりふまわしも、
狂言独特の「滑稽さ」でうっすらと味付けされていて
実に人間らしいマクベスに仕上がっていました。


ダンカン殺害のシーンでは
真っ赤な布?を細かく裂いてつくった小道具「くもの糸」を使い、
(歌舞伎とかで使われる、手からしゅばーーーっと出るあれです)

「取り返しのつかないこと」が行われた場面を強調。

美しかったなあ。


マクベスといえば、蜷川幸雄演出の「NINAGAWAマクベス」が
世界的な評価を得られたことで有名ですが、

野村萬斎は蜷川さんの舞台にも何本か出たことがあり、
きっと影響を受けた部分もあると思います。

なにも恐れず、生々しく、大胆に。

その魂はここでも受け継がれている、と
勝手に思いながら観ていました。

ああ、素敵だった。

雨音を聞きながら余韻に浸る土曜の始まりです。

by miminibanana | 2016-07-02 11:04 | 世間話 | Comments(0)