映画「ハンナ・アーレント」感想
昨日はシアターキノで映画「ハンナ・アーレント」を観てきました。
http://www.cetera.co.jp/h_arendt/
ドイツ系ユダヤ人の思想家ハンナ・アーレントが
ナチスの戦犯アドルフ・アイヒマンの裁判傍聴を通して
導き出した概念は「悪の凡庸」でありました。
組織の中において考えることをやめて(放棄して)しまって
諾々と命令に服従するような凡庸な人間こそが、
人類が嫌悪するような悪に加担する…。
これはいったい、いつの話でしょうか。
まさに現代の日本、で、も。
自身も強制収容所に入っていた経験を持つハンナが、
ナチスドイツ下で(ナチの命令に従った)一部のユダヤ人指導者たちも、
ホロコーストの責任の一端を担っている、と発表した新聞記事は
世界中からバッシングを受けます。
このバッシングがまあ、すごいこと、すごいこと。
ユダヤ人の旧友たちも彼女に背を向け、政治的な圧力もかかる。
このオボカタ的な逆風を受けても頑迷に自説をひるがえさないハンナは
はたして“傲慢で冷血なビッチ”なのでしょうか。
「理解したい」という思考の営みをやめないハンナ。
理解と共感は違う、という、
線引きがとてもムズカシイことを追求しているように感じました。
頭ではわかっても心がそうはいかない、ところかなあ。
いずれにせよ舌に転がすあめ玉のようにバッシングを楽しむ
現代日本の風潮に「加担しない」という私の意志は再確認できました。
観ておいてよかった1本です。「ハンナ・アーレント」。
ちなみにシアターキノの入口では明日から公開される
映画「茜色クラリネット」のコーナーもできていましたよ、ほら。
by miminibanana | 2014-03-21 13:57 | 世間話 | Comments(0)