シネマ歌舞伎「天守物語」

昨日観てきました、玉三郎主演のシネマ歌舞伎「天守物語」。
改装工事に入る前の歌舞伎座で上映された舞台を映画化。

冒頭に玉三郎のインタビューがあり、
泉鏡花の原作を舞台化するにあたっての難しさや
お客の心構えを語ります。

こちらはYoutubeでも配信されている予告編。



予告編をご覧いただくとわかりますが、
玉三郎が金沢の幻想作家・泉鏡花の舞台化に挑んだのは、
「天守物語」「海神別荘」「高野聖」の3本(後者2本はこれから公開)。

「幻想の三部作」が全国の映画館で観られる、というわけです。

泉花の作品は「異世界」がキーワードですから、
「なんで?」とか「どこから?」とか「それはおかしい」という
日常のものさしをふりかざすと、楽しむのは難しい。

  姫路城の天守閣に宿る異形のものたちが、
  最上階から釣り糸をたらして秋草を釣っている。

この最初の場面から心を泉鏡花ワールドに飛ばしていきます。

気高き異形の姫、天守夫人の富姫(玉三郎)が恋に落ちる相手は
若侍の姫川図書之助(市川海老蔵)。

それはそれは美しい二人でした。

愛する図書之助を守れず、窮地におちいる富姫が
「悔しい!」と血を吐くように叫ぶ場面は、圧巻。

「千年に一度、たった一度の恋だもの!」

恋の権化となって蒼白い炎のように輝く玉三郎でした。

by miminibanana | 2012-02-05 09:39 | おすすめ | Comments(0)